ステージタイガーの虎本です。
Project UZU『GIFT』の稽古場を探訪して参りました。
この日は小屋入直前の最終稽古…ということで、修正が必要なシーンをピックアアップしての返し稽古が中心。
物語は、我々が住んでいる現在…とは少し違い、人々が地下都市に住んでいる世界がベースとなります。
人々は太陽を求め、時に争い…
時に求め合いながら、それぞれの想いを募らせていきます。
そう、つまりこの作品はファンタジー。
細やかにしてハイスピードなムーブメント、キラビやかな衣装や装飾、殺陣、ダンス、唄…。様々な手法で我々を作品世界に誘ってくれます。
作演出のAGATAさんも、『この作品はエンターテインメント。初めて演劇を観る方にも楽しんでもらう為の仕掛けがいっぱいです!』と見所を語ってくれています。
そんな中で僕が特にポイントだと感じたのは『音楽』。
稽古中、常に絶え間なく音楽が流れ続けていたのですが、その曲の切れ目や盛り上がりと台詞の切れ目がJUST FIT。
まるで映画やTVドラマを観ているような気持ちよさ!
これを演劇で行えるのは、音楽というバックボーンを持つ演出家•AGATAさんだからではないでしょうか?
この気持ちよさ、ぜひ劇場で体感してみてください。
白熱する中、稽古は終了。
明日からの劇場での準備に向けて、シビアな激も飛びつつ解散となりました。
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ここからは少し余談です。
Project UZUがビジュアルと音で観客の想像力をかき立てるのであれば、僕は活字で(苦笑)…ということでここからは写真はありません。
なぜなら、今から僕が書く事は稽古場探訪…といいながら稽古場外での話。
解散し、帰路につくまでの話だからです。
寒空の下、俳優陣は解散後もミーティングを続けておられました。
それは互いの演技についての話し合い。
どうすればより登場人物の気持ちが見えるのか…どうすればそれが観客に伝わるのか…。
ベテランも若手も関係なく議論は続きます。
僕はそれを横目にそっと稽古場を離れ、駅に向かいました。
と、駅のホームに先ほどまで討論をしていた俳優達が!
なぜ!?
なぜなら僕が方向音痴でしばらく迷子になってたから。
恥ずかしながらも声をかけようとしましたが…。
『あそこの台詞やねんけどね…』
まだ議論は続いていたのです。
そういえばAGATAさんが僕に語った本作の見所には続きがありました。
『この作品はエンターテインメント。初めて演劇を観る方にも楽しんでもらう為の仕掛けがいっぱいです!…ただ、派手で楽しい!という側面だけでは終わらせたくない。そこに生きている人物達の葛藤を見せたい』と。
その人物達を生み出すのは、俳優の仕事。
物語に俳優が向き合い、その手に委ねられた時、作品は1枚も2枚も殻を破る事が出来ると思います。この作品は今、その段階にある。
きっと本番の時には幾重にも厚みを増した『GIFT』を届けてくれる事でしょう。